脇田 和展

Kazu Wakita
2005年9月2日(金)〜 9月24日(土)
AM11:00〜PM7:00 (最終日PM5:00終了)
期間中は日、月休廊いたします。

 

         



 90年余を生きてきた画家が、なお日々絵を描こうと朝を迎えている。それを聞いたとき、私の胸は熱くなりました。その人こそ、脇田 和さんです。その画家が、ピカソを超える高齢で画業を展示しようというのです。

 身近なありふれた素材、便箋や紙袋。それらはつねに声を発しているらしい。それが聞こえると、画家の手は動き出します。この展示はほとんど前代未聞の美の表現です。ハワイの食料品店の武骨な紙袋。捨てられる寸前に脇田さんの目にとまり、カンバスとなって喜々とします。紙袋の折り目も絵に参加。そこに「脇田和の鳥たち」が集まってきます。うるおい無き現代に、美しい物語、色彩とフォルムと安らぎが描かれます。

 芸術家の心、芸術がうまれる秘技の展示。その惜しげもないご馳走を、ぜひ味わっていただきたいと思います。色調の絶妙、息づく線描、品のよさ、洗練されたユーモア。脇田和芸術の味をご堪能ください。

 脇田和さんの描く「鳥と少年」に惹かれたのは、私が少年のころでした。今回、私はその芸術展示に、詩でいささかの参加をしました。展示に加え、画と詩の手帖『女のひとと鳥』もできました。(朝倉 勇)